秋田未来創生会議

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2015-05-16
なかむらふとし先生寄稿文


2015-05-08
犬の社会性のお話。


最新情報

【最終更新日:2015-05-16】

なかむらふとし先生寄稿文

犬の観察力はとても優れた物があります。人間の小さな行動や感情の動きを、人間以上に読み取る事が出来ます。

以前、テレビに足し算を答える犬が出ていた事がありました。飼い主さんが単純な足し算の問いに犬が答えの数だけ吠えて答えるという物でした。もちろん、犬に計算はできません。飼い主さんが無意識に何らかのジェスチャーを出しているのですが、人間のレベルではそれを読み取る事はできません。その犬への実験では、飼い主さんに被ってもらい目だけ出していれば答えられましたが、飼い主さんがドア越しだと犬は答えられませんでした。小さな目の動きを犬は読み取っていたのでしょう。

また、犬は人の真似をする事があります。たまに「笑う犬」に会うことがあります。鼻にシワをよせて、牙をむき出しにして嬉しそうに喜ぶ犬です。犬の世界では鼻にシワをよせて牙をむき出すのは「威嚇」や「攻撃」の意味合いを持ちますが人間の場合はこれは「笑顔」になります。こういった笑う犬は、人の表情を真似していると言われています。
これらは犬の人間を越える優れた能力ですが、この優れた能力が、犬の問題行動につながってしまう事もあります。

私が相談を受けた犬のケースで、犬がその家の小学生のお子さんを攻撃するというものがありました。
お子さんが宿題などをしている時に、急に寝転がったり、伸びをしたりすると犬が怒って飛びかかっていくという事でした。
よくよく話を聞いてみると、お母さんがお子さんのそういった行動に対して叱っていたのを犬が観察していて、真似して代行するようになってしまったようでした。お母さんが家にいない時は、お子さんが同じ行動をとっても犬は攻撃はしなかったのだそうです。
他にも吠えるなどの問題行動もお母さんの行動に結びついていることがほとんどだったという事も判明いたしました。

この例のように、犬に問題行動がでてきた場合、飼い主さん自身がその問題行動の引き金になっている事があります。

犬をしつける事にばかり目がいってしまうと、こういった根本の理由が見つけられない場合があります。まずは「犬がどうであるか」事の前に飼い主さん自身が「自分がどうであるか」を見ていく事が大切な場合もあります。
ただ難しいのは、その犬の洞察力の鋭さ故に、なかなか飼い主さんが気付く事ができないという事です。飼い主さんが意識してないような小さな行動を読み取ってしまう場合もあります。
ですので、私がよくオススメするのは原因となる飼い主さんの行動を詮索するのではなく、まずは飼い主さんが単純に行動のパターンを変えていく事です。犬はくり返しの経験から学習していきます。悪い事はくり返させないという事が重要です。
飼い主さんが積極的に行動のパターンを変える事で、犬に悪いくり返しの行動を経験させないようにしていきます。

犬のしつけでは犬を観察する事が重要ですが、逆に観察されてしまわないように気をつけて下さい。